14.腱板損傷(腱板断裂)

こんにちは。三鷹北口 みらさぽ整骨院です。
今回は肩の周りの腱板損傷について書きます!
肩の周りに存在している回旋筋腱板(ローテーターカフ)の損傷・断裂についてです。 まずは、この回旋筋腱板(以下、腱板)の役割ですが、腕を上げる、ひねる、ボールを投げるなどの複雑な動きをする肩関節の安定性を図るためにあります。
この腱板は棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の四つの筋肉で構成されており、肩甲骨と上腕骨を繋いでいます。(ちなみに、野球に詳しい方ならご存じかもしれませんが、2024年にドジャースの山本由伸投手が痛めたところです。)
概ね40歳頃からこの腱の変性が始まり、腱の弾力や強度低下により、断裂の危険性が高まります。仕事で重いものを持つ人や筋力トレーニングなどでの負担のかけすぎ、転落や交通事故などで肩を打撲した人、転倒などの大きなけががきっかけで断裂する場合と、日常生活の動作の中で少しずつ自然に断裂してしまう場合とがあります。
若い世代では、野球などの投球の繰り返しによるストレスで部分断裂するケースもあります。
腱板の一部が切れたり、裂けてしまったものを部分断裂(不全断裂)または腱板損傷、完全に裂けてしまって腱に穴が開いている状態のものを完全断裂または腱板断裂といいます。
主な症状としては、腱板の部分断裂なのか完全断裂なのかで少し変わりますが、安静時の痛みや腕の上げ下ろしでの痛み、ドライヤーなど短時間だけでも痛みやだるさが出たり、肩を上げた際の異音や引っ掛かり感などがあります。場合によっては痛みが夜間も続くこともあります。そして、利き手側に症状が現れることが多く見られます。
また、肩を前からバンザイのように挙げること(挙上動作)は可能な場合もありますが、どちらかと言えば身体の横から肩を挙げていく(外転動作)で痛みがあったり困難な場合が多くみられます。
また、断裂する場所の多くは棘上筋腱に発生することが多く、まず腱の小さな「ほつれ」から始まります。それが繰り返しの負荷や重いものの持ち上げ、また転倒などで大きな衝撃が加わった際にこの腱が完全に引ちぎれると、完全断裂となります。
断裂には転倒などにより一度に断裂が発生する急性断裂と長い時間をかけて徐々に擦り切れていく変性断裂があります。
腱板断裂のうち変性断裂の方が割合が高く、変性断裂の原因としては以下のものが考えられます。
① 反復動作
野球、テニス、などの肩を使うスポーツや、重いものを持ち上げる筋力トレーニングのやりすぎなどにより腱板断裂の起こる可能性が増加します。また洗濯や物干し、布団の上げ下ろしなどの家事も原因となりえます。
② 血流循環障害
年齢とともに腱板に必要な血流が減少すると考えられており、栄養障害のため腱の劣化が加速することで腱の弾力や強度が低下しやすくなります。また喫煙も血流を阻害する一因となるため腱板断裂の危険性が高くなります。
③ 骨の棘(とげ)
個人差もありますが、年齢とともに肩峰付近の骨の棘(骨棘=こつきょく)が大きくなります。腕を持ち上げたときに骨棘と腱板が衝突することを、インピンジメント現象と呼んでいます。 インピンジメント現象を繰り返していると腱板断裂のリスクが高まります。
腱板が完全断裂の状態であっても、全てが手術を必要とする訳ではありません。裂けてしまったり切れた腱というのは元には戻りませんが、進行程度やその症状に合わせて施術や治療をすることで、痛みや可動域の制限が改善する場合もあります。
あきらめずに一緒に治療していきましょう。